ひな祭りの食べ物と由来・行事食の意味

歴史と文化的背景
ひな祭りの起源は平安時代の「ひいな遊び」
平安時代、宮中で貴族の子供たちが人形を使って遊ぶ「ひいな遊び」が行われていた。これがひな祭りの原型とされる。人形(ひいな)を使った遊びは、子供の健やかな成長を願う儀式としての要素もあった。
「流し雛」が災厄払いとして行われた
平安時代から鎌倉時代にかけて、紙や藁で作った人形を川や海に流す「流し雛」の風習があり、これにより子供の災厄を祓うとされた。この風習は現代でも一部地域で残っており、ひな祭りの精神的な起源となっている。
江戸時代に五節句の一つとして定着
江戸時代に「3月3日」が正式に五節句の一つとされ、家族で祝う行事として発展した。特に雛人形を飾り、行事食を食べる文化が形成された。この時期に、菱餅やひなあられなどの食べ物が雛祭りの象徴として普及した。
女の子の健やかな成長を祈る行事へ変化
江戸時代後期から明治時代にかけて、男雛と女雛を中心とする雛人形が登場し、「女の子の成長を祝う」行事として家庭内で定着。雛壇の形式や人形の配置が広まり、現在のひな祭りの形に近づいた。
行事食の由来と意味

食べ物はひな祭りの象徴や願いを表す重要な役割を持つ
菱餅やひなあられ、桜餅など、ひな祭りに特有の食べ物は、健康・繁栄・災厄除けなどの願いが込められている。これらの食べ物は視覚的にも春や自然を象徴し、行事の意味を体現している。
食べ物はひな祭りの背景である五節句の文化と結びついている
五節句では、季節の節目を祝い、縁起の良い食べ物を摂ることが重要視されてきた。ひな祭りも例外ではなく、菱餅やちらし寿司などが行事食として取り入れられた。これにより、食べ物がひな祭りの祝宴に欠かせない要素となった。
地域ごとに異なる食文化がひな祭りの食べ物に反映されている
ひなあられの甘いタイプ(関東)としょっぱいタイプ(関西)や、桜餅の関東風・関西風など、地域性が強く現れている。各地の文化や気候風土が、食べ物を通じてひな祭りに多様性をもたらしている。
食べ物は家族や子供たちの交流を深める役割も持つ
手作りのちらし寿司やデザートなどを通じて、家族が一緒に祝う機会を提供している。食べ物を囲むことで、ひな祭りが家族間の絆を深める行事として機能している。
参照元:
おいしい和食のはなし 健やかな成長を願って~「ひな祭り」に子どもへ想いを伝えよう~
国立国会図書館 雛市と雛祭り
農林水産省 我が家の行事食~3月~ひな祭り・春分の日
ひな祭りの食べ物一覧 定番行事食の意味
菱餅の色と形の意味

ピンク(桃色)は邪気払いと健康を象徴する
ピンクは桃の花を表し、古来より邪気を払う象徴として用いられてきた。桃の香りには健康や長寿を祈る意味も込められている。桃の花は春を象徴する植物でもあり、ひな祭りが春の行事であることと一致する。
白は純潔と神聖さを象徴する
白は雪を象徴し、心の清らかさや純粋さを表現している。神事や儀式で神聖な色として用いられることが多い。雪の白さが春の新芽や生命の再生を際立たせるという視覚的な意味もある。
緑は生命力と繁栄を象徴する
緑は新芽や草木の色を表し、成長や繁栄、生命の息吹を象徴する色とされる。ひな祭りが春の訪れを祝う行事であるため、緑が自然の恵みへの感謝を表している。
菱形は純粋さと健康を象徴する
菱形は「菱の実」を模したもので、菱の実は古来より薬効があると信じられてきたため、健康や純粋さを表現する形状となった。菱形は形そのものが縁起物とされ、強さと調和を象徴する。
ひなあられの地域差と意味

東日本のひなあられは、甘い
東日本のひなあられは、砂糖でコーティングした甘いタイプが主流です。白・ピンク・緑の三色が基本で、菱餅と同様に雪や桃の花、新芽を表し、春や子どもの健やかな成長を象徴します。やさしい甘さで子どもにも親しまれています。
西日本のひなあられは、しょっぱい
西日本では、醤油や塩で味付けしたしょっぱいタイプが一般的です。小粒で香ばしい米菓のような味わいが特徴で、米文化が根付く関西の食習慣を反映しています。甘さ控えめで、世代を問わず楽しめる行事菓子です。
ひなあられの色は自然や生命を象徴する
白(雪=純潔)、ピンク(桃の花=魔除け)、緑(新芽=生命力)の3色は、自然の循環や春の訪れを象徴している。菱餅と同じ意味を持つ。色彩は地域差に関係なく統一されており、ひな祭り全体のテーマに合わせている。
ひなあられは「野遊び」のための持ち運びやすい形状で発展
菱餅を持ち運びやすくしたものとして、ひなあられが広まった。特に春の野遊びと結びつく食べ物として親しまれた。家族や子供が外で自然と触れ合いながら楽しむための工夫が込められている。
東日本の桜餅は『長命寺桜餅』が主流

引用元:桜餅 | 株式会社 虎屋
小麦粉の生地を使用
江戸時代、東京の「長命寺」で大量の桜の葉が落ちるのを見て、寺近くの茶屋が葉を塩漬けにし、餡を包んだクレープ状の桜餅を販売したのが起源。江戸の町人文化の影響を強く受けている。江戸は米よりも小麦粉を使った菓子文化が発展しており、人々が軽食感覚で楽しめる菓子として受け入れられた。
滑らかな食感と上品な見た目
小麦粉の薄い生地は、当時の都市部で求められた洗練された食文化を反映。特に江戸の武士や町人にとって、日常的に楽しめる「粋」な菓子として人気。江戸では見た目の美しさや手軽さが重視され、薄く焼いた生地が優雅さを演出。
桜の葉の香りを楽しむ
塩漬けの桜葉を餅に巻く文化は、保存性を高める目的だけでなく、香りを楽しむ江戸の感覚が基になっている。江戸の食文化は風味や香りを大切にし、桜餅が四季を感じさせる菓子として定着。
西日本の桜餅は『道明寺桜餅』が主流

引用元:桜もち|叶 匠壽庵
もち米(道明寺粉)を使用
大阪府の道明寺天満宮が発祥。元々は保存食として開発された道明寺粉を使った餅が、桜餅として発展した。素朴で田舎らしい風味が特徴。西日本は米文化が強く、もち米を主食材とする食習慣が菓子にも反映され、道明寺粉のもちもちした食感が好まれた。
粗挽きのもち米で生まれる食感
道明寺粉の粒状のテクスチャーが、素朴で郷土菓子らしいイメージを強調。大阪周辺の食文化において、「噛み応え」や「満足感」が重視された。西日本の食文化では、素材そのものの味わいや食感を楽しむ傾向があり、道明寺桜餅はその思想に沿って発展。
季節感と実用性の融合
もち米の保存性と塩漬けの桜葉は、気候の湿度が高い西日本で保存食として重宝され、春の訪れを祝うシンボルになった。温暖湿潤な気候に適した製法で、伝統的な保存技術が地域の菓子文化として定着した。
北海道の桜餅は『道明寺桜餅』が主流
北海道で道明寺桜餅が主流となった背景
北海道では西日本と同様に道明寺桜餅が主流であり、その背景には明治以降の開拓に伴う関西圏からの移住者の影響がある。また、寒冷地で保存性が重視される北海道において、蒸したもち米を乾燥させた道明寺粉は適していた。さらに、もち米文化が根付いた北海道では、もちもちした食感の道明寺桜餅が受け入れられやすかった。物流が発展する以前は長命寺桜餅のような薄い生地の菓子が流通しにくく、扱いやすい道明寺桜餅が定着したと考えられる。
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ちらし寿司の縁起物としての役割

彩り豊かな具材が繁栄や幸福を象徴する
ちらし寿司は多くの具材を散らすことで、「家族や人間関係の調和」「豊かな生活」を象徴している。具材の色鮮やかさは幸福や繁栄を表現。見た目の華やかさが祝いの場にふさわしい料理として重宝され、ひな祭りなどの祝事に取り入れられる。
各具材が個別に縁起物としての意味を持つ
エビ=長寿を象徴(腰が曲がるまで長生きすることを意味)、蓮根=見通しが良い未来を表現、卵=黄金色で金運を象徴
具材ごとの縁起を大切にする日本の食文化が反映されている。
祝い膳としての歴史と文化が根付いている
ちらし寿司は、江戸時代から庶民の祝い膳として普及し、材料を混ぜる手軽さと豊かさを兼ね備えた料理として広まった。節句や祝いの行事で、豪華さを演出しながらも家庭で作りやすい料理として定着している。
家族の絆を深める象徴
家族全員で楽しめる一品であり、具材を工夫することで、それぞれの好みや地域性を反映。家族の幸福を願う料理としての側面が強い。子供でも食べやすく、世代を超えて共有できる料理として親しまれている。
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参照元:
おいしい和食のはなし 健やかな成長を願って~「ひな祭り」に子どもへ想いを伝えよう~
農林水産省 我が家の行事食~3月~ひな祭り・春分の日
ひな祭りの人気食べ物ランキング
1位: 菱餅

ひな祭りの象徴的存在であり、3色(ピンク、白、緑)の色彩と菱形の形に込められた願い(健康、繁栄、純潔)が広く認知されている。飾りとしても映えるため、視覚的な華やかさが人気の大きな要因。
2位: ひなあられ

手軽に楽しめる点と、東日本(甘いタイプ)と西日本(しょっぱいタイプ)で味にバリエーションがある点が人気を支えていて、子供に特に好まれている。
3位: 桜餅

季節感あふれる味わいと、東日本(長命寺)・西日本(道明寺)の地域性が楽しめる点が評価されている。桜の葉の香りや餡の甘さが、春らしい食体験を提供する。
4位: ちらし寿司

縁起物としての象徴性(エビ=長寿、蓮根=見通しの良さ、卵=金運)と家庭で作りやすい点が人気の理由。華やかな見た目と栄養バランスの良さから、祝い膳として定番。
5位: 白酒(甘酒)

ひな祭りの祝い膳に欠かせない飲み物として、女性や子供に親しまれる。甘く優しい味わいが特徴。白酒は古くから邪気払いと健康祈願の意味を持ち、ひな祭りの行事食の一部として定着している。
参照元:
おいしい和食のはなし 健やかな成長を願って~「ひな祭り」に子どもへ想いを伝えよう~
農林水産省 我が家の行事食~3月~ひな祭り・春分の日
macaroni(マカロニ) ひな祭りの定番食べ物ランキングTOP10!3位「はまぐりのお吸い物」2位「桜餅」1位は?
まとめ
ひな祭りは、日本の伝統文化を楽しみながら、家族や地域の絆を深め、四季の豊かさを再確認する絶好の機会です。今年のひな祭りは、この記事の情報を参考にして、あなたらしい楽しみ方で春の訪れを満喫してみてください。行事を通して得られる喜びやつながりが、あなたの生活に新たな彩りを与えてくれると思います。
サザエ食品では、ひなまつり商品を多数ご用意しております。
その他、さくら餅、うぐいす餅など春の和菓子も発売中。
この機会に、ぜひお近くのサザエにお越しください。

写真下から、サザエのひなちらし、サザエのひな寿司詰合せ、彩りちらし
◇サザエのひなちらし
本体価格:780円 (税込 842円)
◇サザエのひな寿司詰合せ
本体価格:800円 (税込 864円)
◇彩りちらし
本体価格:1,480円 (税込 1,598円)
販売期間:2026年3月1日~3月3日
※取扱商品の種類や販売期間は店舗によって異なります。店舗でのお買い求めをご検討の際には、お近くの店舗に直接お問い合わせください。
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2026年2月16日更新