初午とは何か?由来と基本情報
初午の読み方と意味
初午の読み方は「はつうま」である
「初午(はつうま)」は、暦の上で最初の「午(うま)」の日を指します。「午」は十二支の一つで、古代の暦では日付や時刻を十二支で表していました。このため、2月の最初の「午の日」を「初午」と呼ぶようになりました。
初午は稲荷信仰における特別な日を指す
和銅4年(711年)、稲荷神が伏見稲荷大社に降臨したとされる日が2月の初午の日でした。これを記念して「初午」は稲荷信仰の象徴的な日となり、以後、全国の稲荷神社で祝われるようになりました。
「初午」の意味には、農業の繁栄と地域の発展を願う祈りが込められている
初午は、五穀豊穣や家内安全を願う特別な行事です。この日には農作物の成長や地域の発展を祈る神事が多く行われます。また、地域ごとに異なる行事が発展し、地元の文化として根付いています。たとえば、京都伏見では稲荷寿司を供える風習が有名です。
初午の歴史と由来
初午は稲荷信仰の起源に関連する行事である
午は、稲荷信仰の発祥と深く結びついています。和銅4年(711年)2月初午の日に、稲荷神が京都の伏見稲荷大社に初めて祀られたと伝えられており、これが初午の始まりです。稲荷神は五穀豊穣を司る神とされ、日本の農耕文化において重要な存在でした。そのため、古くから農業の繁栄を祈願する行事として親しまれています。
農業の繁栄を祈願する目的で広まった
初午の日には、全国の稲荷神社で豊作を願う神事が行われます。この行事は、日本の農業社会の基盤を反映しており、時代とともに広く浸透しました。また、稲荷神社に見られる赤い鳥居や狐像は、稲荷信仰の象徴であり、多くの人々に親しまれる存在となっています。
地域ごとに独自の風習や文化が発展している
初午祭は地域によって異なる形で行われています。たとえば、京都伏見稲荷大社では稲荷寿司をお供えする風習が定着しています。このように、地域ごとに独自の特色が加わることで、初午祭は単なる農業の行事を超えて、地元の文化や伝統を反映したイベントとして発展してきました。
初午はいつ?2025年の日程
2025年の初午は2月6日(木)
初午は、2月最初の「午(うま)の日」に該当する日です。2025年は、暦の上で2月6日が初午の日にあたります。この日は、稲荷信仰に基づき、全国の稲荷神社で五穀豊穣や商売繁盛を祈願する行事が行われます。
2024年の初午は2月12日、2026年は2月1日
初午の日付は、十二支と暦の組み合わせにより毎年変わります。たとえば、2023年は2月5日、2024年は2月12日でした。一方、2026年は2月1日、2027年は2月8日となり、日付は2月の初旬から中旬にわたって変動します。
- 2023年: 2月5日
- 2024年: 2月12日
- 2025年: 2月6日
- 2026年: 2月1日
- 2027年: 2月8日
初午いなりの日はいつ?
毎年2月11日は「初午いなりの日」
毎年2月11日は「初午いなりの日」として、いなり寿司が持つ縁起物の魅力を広める記念日です。この日は、全日本いなり寿司協会が提唱し、日本記念日協会に正式登録されています。日付が2月11日になったのは、稲荷神社の初午祭(立春後最初の午の日)が起源です。この記念日が広く定着しやすいように、毎年同じ日付に固定されました。
初午いなりの日は、食文化として親しまれるようにすることを目的に制定された。
初午いなりの日は、いなり寿司をより多くの人に知ってもらい、食文化として親しまれるようにすることを目的に制定されました。いなり寿司は、五穀豊穣や商売繁盛の象徴として、古くから稲荷神社の祭礼で振る舞われてきました。その縁起の良さが、現代でも注目されています。
店頭プロモーションと普及活動
初午いなりの日には、全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストアで、いなり寿司を特集したプロモーションやキャンペーンが実施されています。これにより、日頃あまり意識されないいなり寿司が注目を浴び、特に縁起物としての価値が広まっています。
初午と食文化
初午のお供え物とその意味
油揚げは稲荷神の好物として供えられる
初午のお供え物として最も一般的なのが油揚げです。稲荷神の使いである狐が油揚げを好むという信仰が古くからあり、これに基づいて神前に供えられるようになりました。油揚げは神聖な供物として、稲荷信仰において欠かせない存在です。
稲荷寿司は五穀豊穣を象徴する供え物
稲荷寿司は、油揚げで酢飯を包んだ供物で、五穀豊穣を象徴する食べ物です。この料理は、稲荷神に感謝を捧げる意味を持ち、初午の日に多くの家庭や神社で供えられています。
季節の野菜や果物もお供え物として使われる
初午の日には、季節の収穫物を供えることも一般的です。これには、自然の恵みに感謝し、その年の豊作を願う意味があります。地域によっては、その土地特有の野菜や果物が選ばれることもあり、地元の文化を反映しています。
神前に供えた後、家族や地域で分け合う文化がある
神前に供えた後の油揚げや稲荷寿司は、家族や地域の人々で分け合う風習があります。この行為は、神と人との結びつきを深めるだけでなく、豊作や繁栄の願いを共有する大切な文化的要素です。
初午の地域ごとの特色ある行事食
栃木県の「しもつかれ」
栃木県では、初午の日に「しもつかれ」が供えられます。これは鮭の頭、大豆、野菜を味噌と酒粕で煮込んだ郷土料理で、五穀豊穣を祈る意味が込められています。地域特有の風味を楽しむ初午の行事食として親しまれています。
東北地方の「団子」
東北地方では、初午の日に団子が供えられる地域もあります。その丸い形は豊穣や家族の団らんを象徴し、特産の餡やきな粉を用いた「しんこ団子」や「串団子」など、地域ごとに工夫された団子が作られます。
九州地方の「甘酒」
九州地方の一部では、初午の日に甘酒を振る舞う風習が見られます。甘酒は古くから祝い事や寒い季節の行事で用いられる飲み物であり、初午の日には家内安全や健康を祈る象徴的な存在として振る舞われます。
愛知県の「赤飯」
愛知県では、初午の日に赤飯を供える家庭が多いです。赤飯は小豆が豊穣や幸福を象徴する食材とされており、初午の行事にふさわしいお祝いの食べ物として定着しています。
北海道における初午の行事食の実情
北海道に特化した初午の行事食はない
北海道には、初午に特定の行事食を食べる習慣は一般的には存在していません。これは、北海道が明治以降に全国からの移住者によって形成された土地であり、稲荷信仰に基づく初午文化が全国的に広まる前に開拓が進められたことが背景にあります。
初午に全国的に親しまれる行事食
稲荷寿司
稲荷寿司は、初午の行事食として全国的に広く知られています。稲荷神の使いである狐が油揚げを好むという信仰に基づき、甘辛い油揚げと酢飯の組み合わせが五穀豊穣や商売繁盛を象徴しています。その手軽さから家庭で作られることも多く、初午の日の食卓に欠かせない一品です。
◇サザエでは「初午いなりの日」にちなんで、スティックいなりを販売します!
本体価格:200円(税込 216円)
販売期間:2025年2月3日~2月11日
※取扱商品の種類及び、販売期間は店舗によって異なります。店舗でのお買い求めをご検討の際には、お近くの店舗に直接お問い合わせください。
油揚げ
油揚げは稲荷神社への供え物としても、日常的な料理の材料としても広く親しまれています。煮物や炒め物などの用途が多く、初午の日には稲荷寿司の主材料としても活用される重要な存在です。
地域で異なる初午の風習
松阪での初午の伝統
岡寺山継松寺で行われる初午大祭が中心的な行事
松阪市の初午祭りは、岡寺山継松寺を中心に開催されます。この寺院は日本最古の厄除霊場とされており、毎年3月初めの土日に行われる初午大祭には、県内外から多くの参拝者が訪れます。祭りでは厄除けや家内安全を祈願し、地域全体が一年の無事を願う行事として重要視されています。
縁起物「猿はじき」や「ねじりおこし」が販売される
初午大祭では、「猿はじき」と呼ばれる竹製の玩具や、「ねじりおこし」というお菓子が販売されます。「猿はじき」は「厄をはじきさる」、「ねじりおこし」は「厄をねじ伏せる」という意味が込められており、松阪ならではの縁起物として親しまれています。これらを購入し家庭に持ち帰ることで、家族全員の無病息災を願う風習があります。
かつては「宝恵駕籠行列」が行われていた
かつて、初午大祭の一環として「宝恵駕籠行列」が行われていました。この行列は、厄年の女性が着物を着て参道を練り歩く華やかなイベントであり、地域の伝統を象徴するものでした。しかし近年では中止される場合があり、行列の実施状況については事前に確認が必要です。
松阪と他地域の違い
祭りの中心が寺院か神社か
松阪市の初午祭りは、仏教寺院である岡寺山継松寺で行われます。一方、多くの他地域では、稲荷神社を中心に初午が祝われています。この違いは、松阪が仏教と地域文化を融合させた独特の行事を持つ地域であることを示しています。
他地域では、2月最初の午の日に初午祭りが行われる
他地域では、2月最初の午の日に初午祭りが行われるのが一般的です。しかし、松阪市では毎年3月初旬の土日に開催されます。これは、松阪が旧暦に基づいたスケジュールを採用しているためであり、地域独自の工夫が見られる点です。
他地域で、縁起物はほとんど見られない
松阪の初午祭りでは、「猿はじき」や「ねじりおこし」といった特有の縁起物が販売されます。「猿はじき」は「厄をはじきさる」、「ねじりおこし」は「厄をねじ伏せる」という意味を持ち、松阪ならではの風習として参拝者に親しまれています。他地域ではこのような縁起物はほとんど見られない点が特徴です。
他地域では、行列などの伝統行事がない
松阪市の初午祭りでは、「宝恵駕籠行列」という厄年の女性が着物姿で参道を歩く伝統行事がかつて行われていました。他地域では、こうした行列が少なく、松阪ならではの華やかな行事として知られています。ただし、近年では中止される場合もあり、最新情報の確認が必要です。
まとめ
この記事では、初午の歴史や文化、地域ごとの特色について紹介しました。初午を通じて、稲荷寿司を作るなどの行事食を楽しんだり、松阪市の初午大祭を訪れたりすることで、日々の暮らしに季節感や伝統の豊かさを取り入れることができます。また、地域ごとの風習に触れることで、伝統文化や日本の多様性への理解を深めるきっかけにもなります。初午を楽しむアイデアを見つけて、日常に新たな楽しみを加えてみてください。
引用元:
国立天文台「暦象年表」
URL:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/cande/?utm_source=chatgpt.com
稲荷神社の公式ウェブサイト
URL:https://inari.jp/?utm_source=chatgpt.com
一般社団法人 日本記念日協会
URL:https://www.kinenbi.gr.jp/
農林水産省-栃木県しもつかれ
URL:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/cuisine/cuisine2_1.html
日本伝統文化振興機構-さるはじき
URL:https://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=305
鶴の玉本舗 たつみ堂-ねじりおこし
URL:https://tatsumido.jp/menu/326289
松阪市公式ホームページ
URL:https://www.city.matsusaka.mie.jp/site/kanko/
松阪市観光協会
URL:https://www.matsusaka-kanko.com/